防水工事

アスファルト防水

合成繊維不織布にアスファルトを含浸・コーティングしたシート状のルーフィングを貼り重ねて形成する工法です。
熱工法・トーチ工法・常温工法(冷工法)などに分類されます。
ルーフィングシートを積層することにより、水密性に優れた防水層が構成されるので、露出仕上げや押えコンクリートで仕上げたり屋上緑化
を施したりと多彩な仕上げが可能です。

(1)熱工法
アスファルト溶融釜で220℃~270℃に溶融した防水工事用アスファルトを使用し、ルーフィングシート複数枚を交互に積層して防水層を作る工法。
(特徴)
熱工法の特徴は、溶融した防水工事用アスファルトを使用することにある。常温時においては固形物である防水工事用アスファルトは、
現場においてアスファルト溶融釜を灯油バーナーなどで熱して液状に溶融するが、溶融されたアスファルトは、ルーフィング類を張り付けた後、
時間を経ず硬化し、防水層としての機能をすぐに発揮します。
つまり防水層を完成させるまでの作業時間の中に養生時間や養生期間がなく、防水層を容易に作ることができます。
アスファルトは熱すると液状になり、冷えると固体状になるという性質をうまく防水工事に適用しているのです。
しかし、この工法の問題点は溶融したアスファルトの異臭や煙を放つこと、溶融温度が220℃~270℃と極めて高温であることから近隣の環境問題などを十分に考慮して施工を行う事が重要である。
(2)トーチ工法
改質アスファルトルーフィングシートの裏面と下地を、トーチバーナーであぶり溶かしながら張り付け、あるいは張り重ねる工法。
(特徴)
トーチ工法は、熱工法の溶融釜のような大がかりな設備が不要で段取りが簡素であり、
改質アスファルトルーフィングシートをあぶり融かして下地に張り付けるだけの簡単な作業で容易に防水層をつくることができる。
しかし、この工法の問題点は、あぶり不足などの施工不良が原因による早期劣化や雨漏りなどの不具合が多く発生していることです。
この原因はトーチバーナーの火炎が強いことや温度が1000℃以上にもなることから、改質アスファルトシートに火炎を当てればすぐに融ける錯覚が生じてしまうためです。
コストパフォーマンスに優れた工法だが、精度の高い丁寧な作業があってこそ、その防水性能が発揮される。
(3)常温工法
ゴムアスファルト粘着層を裏面にコーティングした改質アスファルトルーフィングシート複数枚を交互に積層して張り合わせる工法。 冷工法とも呼ばれる。

塩化ビニル系シート防水

塩化ビニル樹脂系のシート状の材料1枚で構成された防水層です。屋外での日光による紫外線、熱、オゾンに対し優れた耐久性を持っています。
塩ビシートは素材自体が予め着色され高い耐久性があるため、防水層のメンテナンスとして一般的な保護塗装が原則不要になり維持管理費も節約することができるのがメリットです。
下地の種類や状態、使用される用途によって接着工法と機械的固定工法があります。

(1)接着工法
下地およびシートの裏面に接着剤を塗り張り付ける工法。
(特徴) ある程度の強度を有することから軽歩行程度の用途に適応できます。
(2)機械的固定工法
下地に緩衝材を介し、鋼板・ビス等により、防水層を機械的に固定する工法です。なお、防水層の仕上げ方法は露出仕上げである。
(特徴) 下地の乾燥不良や下地の動きなどに対して適用性に優れ、既存防水層を撤去せず被せて施工できるので、下地処理のコスト削減ができます。
※基本的に非歩行。人が歩く場所には不向き。

ウレタン塗膜防水

ウレタンゴム系塗膜防水(ウレタン防水)は、液体状のウレタン樹脂を塗り付けて、塗布した材料が化学反応して固まる(硬化する)と、ゴム状で弾性のある一体性のある防水膜が出来上がります。
液体状の材料を使って現場で仕上げる工法なので、複雑な形状をした場所でも継ぎ目のない完全な防水膜を加工できます。

(1)密着工法
ウレタン防水材を塗布し補強布を張り付け、さらにウレタン防水材を塗りつけて所定の厚さに仕上げる工法。
(特徴)
ウレタン防水層では膨れのトラブルが懸念される。原因として、下地の乾燥が不十分な状態で施工された場合や、下地の清掃不良、プライマー塗布量の過不足などがある。
(2)通気緩衝工法
通気性能を有する通気緩衝シートを張り付け、その上にウレタン防水材を塗布することで形成される防水工法です。
(特徴)
ふくれの原因となる下地に含まれている蒸気化した水分を、外部に脱気させることのできる、安全で信頼性の高い工法です。

シーリング防水

シーリング防水とは、シーリング工事を防水に応用したものです。簡単にいえば、隙間や目地を埋めて水分の侵入を防ぐという防水方法です。
建物は一戸においても、木、レンガ、アルミサッシ、モルタル、コンクリート、ガラス、ビニール、紙などなど、必要とデザイン性と予算と好みを考慮して、
いろいろな建築材料を組み合わせて建てられます。それぞれの建築材料をより良く繋ぎあわす「取り合い」の為に考えられたのが、シーリング工事です。

FRP防水

FRPとは繊維強化プラスチックス(Fiber Reinforceed Plastics)の略称で、
プラスチック材料の中で耐衝撃性に強く、耐水性や成形性がよいところから、
建物の防水材では木造住宅や駐車場などに、成形品ではボート、自動車のボディパーツ、浄化槽、バスタブ、ヘルメット、太陽光発電の基礎架台など幅広く利用されてます。
(特 徴)
他の防水材とは比較にならない程高硬度で、耐衝撃性・耐摩耗性に優れるのでさまざまな用途にベランダ・屋上を利用できる。
しかし、硬くて下地への接着力が強いので、地震などによる下地の動きに追従できず割れてしまうことがあります。